標本から母分散を区間推定する

標本から母分散を区間推定する方法メモ。



標本から母分散を区間推定する


全数調査が難しい時に、標本値から母集団の平均、分散を推定することができます。この記事では、その中でも特に母分散の推定方法について解説します。



母分散の区間推定でできるようになること


母分散の区間推定を使うと、「工場のラインで作られる製品のばらつき具合」とかを計算できるようになります。


母分散の推定は、「正規母集団では、不偏分散の分布がχ^2に従う」という定理に基づいています。つまり、母集団が正規分布に従う場合にしか使えないことに注意しましょう。



母分散の区間推定。母集団が正規分布に従う場合


細かい理屈を抜きにすると、簡単な式で計算することができます。以下の例題で示します。


K工場から出荷されるカップラーメン10個について、その内容量を調べたところ、次のような結果が得られました。この標本から、製造されるカップラーメン全体の内容量の分散を信頼度95%で推定してください。


1個目 2個目 3個目 4個目 5個目 6個目 7個目 8個目 9個目 10個目
184.2 176.4 168.0 170.0 159.1 177.7 176.0 165.3 164.6 174.4

先に公式を示します。


(n-1) * 不偏分散 / k2 <= 母分散 <= (n-1) * 不偏分散 / k1


母分散は上記の式で区間推定できます。k1、k2は、自由度n-1のχ^2分布の下側100(1-α)/2%点、上側100(1-α)/2%点です。


それでは計算していきます。


いきなりですが、不偏分散は56.3になります。エクセルでVAR関数を使うと一発で計算できます。


これまたいきなりですが、k2は、χ^2分布表における自由度9の0.025%点 = 19.0、k1は、χ^2分布表における自由度9の0.975%点 = 2.7になります。χ^2分布表は検索すればたくさん見付かります。もちろんエクセルで計算することもできます。


不偏分散、k2、k1の値を公式に代入すると、


(n-1) * 不偏分散 / k2 <= 母分散 <= (n-1) * 不偏分散 / k1

(10-1) * 56.3 / 19.0 <= 母分散 <= (10-1) * 56.3 / 2.7

26.6 <= 母分散 <= 187.7


よって、母分散は、26.6以上、187.7以下となります。



まとめ


母分散の区間推定を行いました。


今回の方法は、母集団が正規分布に従う場合にしか使えないことに注意しましょう。



参考書籍


この二冊を読んでこの記事を書きました。必要十分なことしか書いてないのでむっちゃおすすめです。



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