「数多くの大企業が失敗してきたネットモール市場において、何故、楽天だけが大成功できたのか」についての面白い仮説を最近聞いて来ました。面白かったのでご紹介します。(当たり前の話だったらすいません)
この話をまとめているうちに、「楽天が大成功した理由」と「クラウドファンディングが成功しない理由」って同じような気がしてきました。この考え方についてもご紹介します。
ご意見・ご感想がありましたら、@ts_3156まで何でもご連絡ください(^_^)ノ
楽天は日本で一番成功したネットモール
日本で一番大成功しているネットモール 『楽天市場』の運営会社です。楽天市場は、小売店に出店してもらい、小売店から手数料を取ることをビジネスとしています。
これは個人的な感想ですが、楽天のショップのHPはお世辞にも見やすいものではないです。とにかく薄利多売で手当たり次第に売りつけるような、ごちゃごちゃした商品説明のショップが大多数です。
楽天の三木谷社長は、『楽天市場公式 ネットショップの教科書』という「何を売るか」ではなく「どう売るか」に特化したネットショップの教科書を発売しています。なかなか面白い考え方が満載なので、興味を持たれた方は書店で手に取ってみてください。
楽天は『出遅れたけど出遅れたくない人たち』を相手にしたから大成功した
一般的に先行優位と言われるインターネットにおいて、楽天がネットモール事業を始めたのはかなりの後発です(って言っても1997年くらいからやってるみたいですが)。
成功したのには色々な理由があるのでしょうが、私が聞いてなるほどーと思ったものをご紹介します。
楽天のビジネス相手はインターネットに出遅れた人たち
楽天がすごいのは、「インターネットに出遅れたけど出遅れたくない人たち」を数万人規模で集めたこと。楽天は、出遅れたコマースサイトの結集である。世の中には、先手を取った人たちよりも出遅れた人たちの方が圧倒的に多数である。
楽天は「何を売るか」ではなく「どう売るのか」をレクチャーする企業
出遅れた人たちに、「何を売るのか」ではなく、「どう売るのか」のコーチングを徹底したのがすごい。商売の基本は、相手に儲けてもらうこと。「売り方」をレクチャーすることで、楽天市場の価値を高めていった。
楽天市場で物を買うのは新時代に乗り遅れた人たち
楽天で物を買っているのは、インターネットに乗り遅れた人たち。情報弱者と言うと聞こえは悪いが、ユーザ数としては圧倒的に大きな層。
ネットモール先行企業は顧客(イノベーター)の絶対数不足により失敗した
先行者やイノベーターは、楽天で物を売ろうと思わない。そういう人たちは物を売りたくなったら自分で売る。楽天で物を売るのは、あくまでも出遅れた人たち。
ゴールドラッシュで一番儲けたのは、つるはしや衣類を売った人たち
インターネットの基本中の基本は、「つるはしビジネス」。不特定多数の金の亡者を集め、金の亡者の自立的努力によって市場を形成することが重要。
「不特定多数の金の亡者の自立的努力による市場形成」とはよく言ったものですね。金の亡者の一人として、耳が痛いです。笑
金の亡者による市場形成の一例として、AppStoreとそれを取り巻く開発者たちが紹介されていました。もちろんAppStoreの成功理由はそれだけではないと思いますが。
金に限らず、当初出会い系サービスとして話題になった「mixi」、「Mobage」のように、何かしらの「○○亡者」を有効活用することが、良くも悪くも大事なのかもしれません。
クラウドファンディングは少額寄付プラットフォーム
楽天が成功した理由って、そっくりそのまま、クラウドファンディングが失敗する理由になってる気がしませんか?
クラウドファンディングとは、少額寄付プラットフォームのことです。
クラウドファンディングでみんなハッピーな例
被災地の○○で、まちおこしのために□□なイベントを開催したい! 出資者いませんか?? 1人あたり1000円、全部で30万円集まったら開催決定です!
↓↓↓
はいはい! 私たち寄付します!
↓↓↓
皆さんのおかげでイベント開催決定しました! みんなありがとう!
ざっくり言うとこんな感じです。実際はそんなに簡単な話じゃないみたいですが。
日本でクラウドファンディングをやってるのは、例えば以下のようなサイトです。
見返りは感動や体験 - Campfire
“見返りは感動や体験”個人から少額で支援を募り、クリエイティブなアイディアを実現させる、マイクロ・パトロン・プラットフォーム
- Campfire
実行者を支援する - Readyfor
READYFORは実行者を支援する日本初のクラウドファンディングサービスです。
- Readyfor
両方とも、コンセプトは素晴らしいんですが、いまいち流行ってないんですよね。たぶんこの理由って以下の2点が大きく影響しているのではないでしょうか。
クラウドファンディングが成功しない理由『イノベーターは、何でも自分でやりたがる』
「イノベーターは、人に頼らないからこそイノベーターである」まさにこれに尽きるのではないでしょうか。
イノベーター(立案者側)は他人のプラットフォームで情報発信をしたがらない
クラウドファンディングで出資者を募るような人たち(イノベーター)は、他人の作ったプラットフォーム上で情報発信をしようとは思わない。そういう人たちは、情報発信をしたくなったら自分のサイトでする。
イノベーター(出資者側)は絶対数が少ない
クラウドファンディングで出資者になるような人たち(これもまたイノベーター)は、絶対数が少ない。これでは、「多数の人たちから出資を募る」という根本的な原則が成り立たない。
つまり、「プロジェクト立案者、出資者の両方で多数のユーザが必要なのに、プロジェクト立案者は自分でやりたがるし、出資者は数が少なすぎる」と。
まとめ
プラットフォームになることを目指そうと思ったら、何かしらの形で、「金の亡者による自立的な市場形成」を起こす必要があるのですが、クラウドファンディングは、その崇高な理念ゆえ、多数の金の亡者は集まりにくい。
ここをいかに解決するのかが、今後のクラウドファンディングの動向を左右する気がします。
個人的には、クラウドファンディングは素晴らしいサービスだと思うので、ぜひ発展して欲しいものです。
ご意見・ご感想がありましたら、@ts_3156まで何でもご連絡ください(^_^)ノ