ユーザー心理の理解のためにソシャゲをやり込んでみた

仕事の都合上、ソーシャルゲームを理解する必要があるということで、神撃のバハムートをやり込んでみた。


神撃のバハムート
画像はCygames公式ページより引用

結果として、ソーシャルゲームならではの要素にたくさん気付くことができた。やっぱりやってみるのは大事。っていうか今までやらずに開発してたのは本当に間違いだったと気付いた…。


この記事はその感想メモ。



数が圧倒的な無課金層、少数の課金層、ごく少数の廃課金?で成り立つソーシャルゲーム


なんとなくの肌感では、神撃のバハムートは以下の層で成り立っているようだった。


神撃のバハムート MAU 課金者比率
数字はゲームをプレイした勘です

  1. MAUの70~80%の無課金層
  2. MAUの20~30%の課金層
  3. MAUの1~2%の廃課金層?

課金率は、Mobageの平均課金率18%(2012年8月時点)から適当に計算しました。

MAUの参考情報として、MobageのMAUは383万人(2012年8月時点)、神撃のバハムートの通算ユーザー数は200万人以上(2011年9月~2012年6月)らしいです。



ここで私が主張したい仮説はこれ↓


課金率は高ければいいってものではない。大量の無課金層と少数の課金層のバランスがゲームの売上に大事


神撃のバハムート 無課金と課金の比率
「無課金と課金のバランスが大事」の図


今回プレイした感覚では、無課金層が大量にいることがゲームの盛り上がり(=売上)に一役買っている印象でした。


ちらほら聞くうわさ話では、廃課金層もそれなりの数いて、それなりに売上に貢献しているらしいですが、プレイした限りではよく分かりませんでした。


神撃のバハムート 廃課金の存在は謎
「廃課金の存在は謎」の図


以下、前述の各ユーザー層のより詳細な行動パターン分析です。


1. 無課金層 課金はしないが圧倒的なプレイ時間を誇る

カードの強化等を一番行うのはこの層。有り余る時間を使って強化したカードで、課金しないと容易に手に入らないアイテム(キュアウォーター、ホーリーパウダー)を大量に集める。



2. 課金層 時間節約のため強いカードをさっさと購入

お金はそこそこ持っている。なので、さっさとクリアするためにちょこちょこ課金する。強いカードは自分で育てる時間がない。強いカードは課金アイテムと交換して手に入れる。



3. 廃課金層 私は観測していないが数%はいる

ソーシャルゲームの売上の大半は廃課金者(によるガチャ売上)という情報をちらほら聞くので、ごく少数はいるのだと思う。

※課金者かどうかがゲームシステムにより巧妙に隠蔽されており、直接的に廃課金者を観測することは難しかった



これらの考察から、ソーシャルゲームを開発する時は、「課金ユーザー数だけでなく、無課金ユーザー数も重視する必要がある」と私は感じました。


これまではゲームユーザー全体に占める無課金層と課金層の話でした。次は1日の中でどの時間帯にどういうユーザーがいるかの考察です。



時間帯によってアバターの違いがある。つまり、課金者はプレイ時間に偏りがある?


時間帯によってアバターに一定の傾向が見られました。日中の中途半端な時間帯はデフォルトアバター(=無課金)が多く、夜は着飾ったアバター(=課金)が多い印象だった。


ここで私が主張したい仮説はこれ↓


課金がいる時間帯は1日の中でも偏っている。数時間単位のイベントはこの時間帯を狙い撃ちした方が売上効率が良い


神撃のバハムート 課金者がいる時間帯には偏りがあるのかも
「課金者がいる時間帯には偏りがあるのかも」の図


当たり前といえば当たり前なので特に詳しくは書きません。


一応課金者の年齢に関する既知の事実として、課金者層は30~40代の男性が圧倒的に多いというデータはあります。10代の課金者は実はかなり少ないようです。


次は、イベントの中で友人の動向を見せてやる気を起こさせる仕組みについての話です。



ことあるごとに他のユーザーの動向を見せて競争心を煽る


タイトルの通りです。見せるユーザーを選ぶ理由はなんでもよく、一例として、


  1. 戦友の最近の動向を見せる
  2. 自分が参加しているイベントでの他のユーザーの進捗を見せる
  3. 自分が参加しているイベントの分岐点で道しるべを他のユーザーが残してくれる
  4. 戦友をボス戦に仲間として呼べる
  5. 全体順位とともに、騎士団内など局所的な順位も表示する
  6. バトルするユーザーは極力同じレベルのユーザーを推薦する

戦友とは、特定のゲーム内限定の友人のことです。

自分の動向は他のユーザーに勝手に表示されます。承諾画面とかは一切ないです。



などなど。

売上に直接的に影響するわけではなさそうだけど、他のユーザーの動向が分かるのはなんとなく励みになるってのは私も同意します。


次は、ガラケーとスマホの違いに関するちょっとしたメモです。



スマホだとボタンがないからタップの反応が悪くてイライラする


これは本当になんとなく思った感想。スマホだとタップできてるんだかできてないんだか分からなくてイライラすることが多々あった。


次は、ソーシャルゲームの大半はカードゲームだよ、って話です。



ソーシャルゲームの大半は、カードゲーム


各ゲームプラットフォームで、育成、スポーツ、恋愛、、、等のジャンル分けがありますが、結局どれもカードゲームです。


売上を伸ばしまくっているのは、ソーシャルゲームの中でも特にカードゲームのみのようです。なので、ソーシャルゲーム=カードゲームと言ってもよいかもしれません。


さらに、ソーシャルゲーム=儲かりまくり、という幻想はそろそろ終わりかけているようです。

ソーシャルゲームだって簡単じゃねーんだよ 減収減益や下方修正企業まとめ


最後にまとめに入ります。



まとめ:ソーシャルゲーム開発者は絶対にどれか1つはソーシャルゲームをやり込んでみるべき


今回神撃のバハムートをやってみて初めて分かったことが本当にたくさんありました。


ソーシャルゲームに苦手意識を持っているソーシャルゲーム開発者は非常に多いと思いますが、会社を潰したくなかったら自分も今すぐやってみた方がよいかもです…。


最近の若者はゲーム脳。ゲームをやりすぎたため、人生にリセットボタンがあるかのようにすぐ犯罪に走る
(60代男性)


こういう発言をする人って信用おけないですよね? ソーシャルゲームをやったことがないのにソーシャルゲームを開発している人はまさにこういう感じなのかもしれません…。



その他メモ


ここからはその他メモ類。


現在のパラメーターはこんな感じ。

Lv 48、体力 173、攻戦力 128、防戦力 54、戦友20人、課金額 2万円ちょい。


他の人のソーシャルゲームやってみた記事。

ソシャゲ上位ランカーの心理分析のためにイベントランキング上位を目指してみた


ソーシャルゲームが儲かるんじゃなくてカードゲームが儲かるんだよ、的な記事。

ソーシャルゲームだって簡単じゃねーんだよ 減収減益や下方修正企業まとめ


CEDEC2011での記事。

オンラインゲームを「オカンでも説明無しで楽しめる」ように作るためにすべきこと


米国のソーシャルゲームでは翌日には90%が離脱するよって記事。

ソーシャルゲーム、ゲーム開始翌日には実に90%のユーザーが離脱


GREE、Mobageの年齢分布はフラットだよっていう記事。

MobageとGREE、2大プラットフォームの競争をデータで見る・・・「データでみるゲーム産業のいま」第40回


ソーシャルゲームの動機の大半は「暇つぶし」だよっていう記事。

ソーシャルゲームを遊ぶ動機は「暇つぶし」・・・「データでみるゲーム産業のいま」第38回


最近買った電子書籍。各ゲームプラットフォームの数字が紹介されている。

電子書籍シリーズ「ゲーム産業をデータで読む」創刊 ― 第1弾はソーシャルゲーム



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