DeNA Social Game Planning Seminarに行ってきた。そのメモ。
DeNA Social Game Planning Seminarの概要
セミナーの内容、タイムスケジュールの公式情報は下記のATNDページに載ってます。
http://atnd.org/event/denaseminar1
参加者の一人として簡単に内容を書くと、Mobageのプロデューサー3人が自社におけるソーシャルゲームの取り組みについて紹介、その後、他のMobageプロデュサーも交えて懇親会、という流れでした。
懇親会では、わざわざ追加のプロデューサー陣を呼んで、しかも各テーブルに話しに来てくれるという至れり尽くせりっぷりでした。後、料理がとてもおいしかったです。
このセミナーの発表の中で役に立つと思った話について紹介していきます。
最初はDAUを低く抑えて様子見しつつ、これはくると確信できたら一気に開発リソースを投入する
Blood Brothers(以下、BB)では、最初はDAUを低く抑えゲームの根本的な可能性を確認して、これはくる!と確信できてから一気に開発リソースを投入したそうです。
Mobageさんの作るソーシャルゲームと私の知っているソーシャルゲームとはだいぶ違うみたいですね…。私の知っている一般的なソーシャルゲームのライフサイクルは↓こんな感じです。

さらに、私の知っているソーシャルゲームの一生をグラフにすると↓こんな感じです。

モバゲーさんの開発は上記のグラフとはだいぶ違うらしいです。「最初はDAUを低く抑える」ということは、「後からDAUはいかようにも伸ばせる(ゲームの基本的な完成度が高ければ)」ということなんでしょう。
ちなみに、「ゲームの基本的な完成度・潜在能力」は通常時ARPUとイベント時ARPUで判断するそうです。
DAUに限らず、「KPIは眺めるものではなく伸ばすもの」という意識が随所に感じられる発表でした。
公式な発表内容に関する話はこの1つで終わりで、残りは懇親会の雑談で聞いた話の紹介になります。雑談中の話なのでざっくりしか書きません。内容の信憑性は各自でご判断ください。
朝帯、昼帯、夜帯等、時間を絞ってイベントを打つ
色んなところでちょくちょく聞く話です。ユーザーによってゲームをする時間が異なるから、対象とするユーザーに合わせた時間にイベントを行う必要があるよ、という話です。
例えば、「課金額が多いのは30~40代の男性」という既知のデータがあります。この人たちがゲームをするのはどの時間だろう、と論理的に考えていけば、イベントを打つべき時間帯はかなり絞られるよね、ということです。

時間帯を絞ったイベント開催もすごいですが、さらに数値を見てこまめに調整できる開発体制はもっとすごいと思います。数値を見ながら次に向けてイベントのチューニングをするそうなんですが、早い時は午前中に数字を見てその結果を午後のイベントに反映させるそうです。
新規ユーザーの獲得はモバコインを使った友人紹介インセンティブがでかい
Mobage(とGREE)はどこから新規ユーザーがやってくるのか不思議だったんですが、Mobageさんではモバコインによる友人紹介インセンティブの効果がけっこうでかいそうです。
参考までに、Mobageプラットフォームに新規ユーザーを紹介すると1500モバコインもらえるようです。

プラットフォームとしては裾野を広げていくことが大事
「業界としては先細り傾向なので~」みたいな話がちらっとでました。
業界の傾向について私からは特に肯定も否定もしませんが、一般論としては、どんな業界であれ消費者の規模が小さくなると立ち行かなくなるよなぁとは思います。
ここからはかなり推測の話になりますが、Mobage(やGREE等のソーシャルゲーム業界)は、ユーザー規模としては徐々に小さくなっているのではないでしょうか。そう思う根拠は以下の通りです。
- 米国のソーシャルゲームの翌日離脱率は約90%
- 国内ソーシャルゲーム売上の大部分は30~40代 男性ユーザー
- 金銭的なインセンティブに頼った新規ユーザー集め
この3つの情報を(都合よく)つなぎ合わせると、「離脱率が非常に高く、一部のユーザー層に頼った売上構造であり、友人紹介のインセンティブ無しにはユーザー規模を維持できないのがソーシャルゲーム」と言えるかもしれません。

上記の決算資料では、最近発表されたcommの戦略的意義を、「大規模なユーザー基盤・送客基盤」と説明しています。このことは、単なる既存サービスとのこじつけではなく、現在の主な収益源であるソーシャルゲームのユーザー規模縮小を見越した戦略なのかもしれません。
企画者は色々なゲームをやっていることが大事
これは企画者に限らないですね。開発者も、つまんないと思いながらでもいいからまずやってみないと駄目だなぁとは思います。
この雑談の相手も、コンシューマゲームはむちゃくちゃ大好きなんだよー、って話の後に、ぼそっと「ソーシャルゲームは研究のためにやっている」と言っていました。
Blood Brothersのクオリティは非常に高い
これは単に私の感想です。従来のカードゲームとは一線を画す出来だなぁという印象でした。
中の人としても、新しい取り組みを色々とやっているそうです。ゲームっぽいエフェクト、チュートリアルはさっくり、なんでもかんでも課金ってわけじゃない導線設計、などなど。
丸パクりゲームが溢れるソーシャルゲーム業界ですが、「誰の真似でもない、自分たちが前例を作るんだ」みたいな意気込みが感じられる内容でした。実際は色々と難しいことも多いのでしょうけども…。
まとめ
ソーシャルゲームについてはこれまでに書いた通りなので、それ以外の部分について。
発表の中ではMobageの開発スタイルについても色々と紹介されていました。「圧倒的なスピード重視の開発」、「ロジカルな意思決定」、「基本的な開発能力の高さ」等、ソーシャルゲームと関係ない部分でもとても魅力的だなぁと思いました。
ソーシャルゲーム業界が今後どういう結末を迎えるにしても、今まさに現在進行形で世界に挑戦し、新しい取り組みを次々に行なっていく、という経験は何ものにも代えがたいものなんだろうなぁと考えさせられました。